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きつねのはなし(森見 登美彦)
2020.11.18
books

森見 登美彦さんの本を読むのは10年ほど前に出た太陽の塔以来。
友人の家に泊まった際にホラー小説祭りをしていると話すと、
本棚から取り出して貸してくれた。

私は京都の大学生だったので、森見登美彦さんや万城目学さんの小説を読むと、内容+エモい気持ちにもなるので楽しく読めます。

きつねのはなしでは、がっつりホラーというよりも、少し背筋の寒くなるような不気味な話が主でした。
万城目さんに比べて森見さんの本は「読後感があっさりしていて気持ちいい」と昔から思っているのですが、これも同じく、ホラーでありながらも気分が重くならずに楽しめる一冊でした。かなり読みやすい。

この本では民俗学のようなものとのリンクは無かったですが、京都という地域を中心にして話が進んでいくのがすごく面白かった。

前回のかるかやみたいに解決するという訳でもなく、不気味なものは不気味なまま存在しつづけている感じも良い。

ホラーの良いところは、推理的な要素も説明のつかない不思議さもあるところかなと思う。
そのおかげで、物語を物語として集中して読めるというか…
例えばヒューマンドラマ系の小説だと、自分の生き方とか考え方を重ねてズレを見つめて思う事や、本質を探してこの作者の伝えたかったことなどに思いを馳せたりする行為もあってわりと神経を使うのだけど、ホラーにはまったくそういうのを感じず、あくまでもエンタメとして楽しめる所が好きです。

夏のホラー祭りと言いつつ、既にクリスマスシーズンですが積読に選りすぐって集めたホラー小説があと4冊ほどあるので、引き続き読み進めます。